M2 購入記 

●1999年12月末〜2000年1月2日 

 話は上のピンボケ写真から始まる。1999年12月、長年乗ってきたZEPHYR1100にガタが出始め、子供ができてからでは買い替えも不可能、新しいバイクを買うなら今の内と思い始めてきた。そうなったら止まらない。候補が数台あって、インターネットやら、リンドバーグ(バイク雑誌の過去本を扱っている本屋)に行って、別冊の追跡シリーズなどを立ち読みし、必要なら購入し、^^;) トコトン調べまくり、私のバイク生活に最も適した1台をピックアップしようとしたのである。すっかり新しいバイク欲しい欲しい病に冒された私は、悶絶死状態。元旦早々近所のバイクショップ「アルテミス」(当然正月休み中)に行き、子供のごとくウィンドウにかじりついていた。この写真はカミサンが「なにかの思い出になるから」といって撮影したものである。

因みに私のバイク選択の条件とは

1.ツーリング向きである事。そのために積載性(リアシートが充分にある)やツーリング燃費(リッター20km以上)があり、着座姿勢に無理がないこと。
→DUCATIモンスター900さん、ヤマハVmaxさん、また今度ね。

2.最高速度は180km/h以上で、加速も鋭いこと。
→BMWF650さん、カワサキW650さん、また会いましょう。

3.新車で130万円以内であること。(この金額でもう精一杯)
→BMWのみなさん、また今度。でもいつかきっと1150GSさん会いましょう。

4.デビュー後数年が経過し、問題点がおおかた解決されているバイクであること。
→スズキ隼さん、問題ないでしょうがここではさようなら。

6.スタイリングが自分好みであること(最後はやはりこれ!)
→国産ビックオフローダーさん、また今度。もう少しスリムで軽くなったら会いましょう。

※ネイキッドのスーパースポーツは最初から対象外。

である。結果、導き出された答えがカワサキZZR1100であった。こんなピッタリなバイクはない。しかし、素直に心踊れないことがあった。このバイクはZEPHYR同様カワサキの4発であること。買っても新鮮味がないのではなかろうか・・・。「同じ1100でも別モンだよ」と、諸兄は言うかもしれない。実際そうなのだが、売るつもりないしこのままでは2台をどうやって乗り分けていくのか自分の中ではっきりしない。上の写真はある意味、ZZRへの思いを強めるために、正月早々会いに行ったと言えなくもない。

●2000年1月4日

 2日後。友人から届いた1通の年賀状に、「Buell買いました。スゴイです」 と書かれてあった。Buellの存在は知っていた。しかしシートは短くてツーリングには向いてないし、値段も確か150万円以上でまったくの対象外であった。(この時、SIしか知らなかった))興味本位でホームページくらい見てみるかと検索したらありました。Buell Japanのサイト。早速見たら驚いた。なんと119万円・・・・。しかもM2と言う車種(友人もこれ)はシートも大きくて二人乗りも楽そう。さらにタイミング良く、別冊の2000年1月号はBuellの特集を組んでいたのである。早速購入。加えてBuellをキーワードにインターネットで検索も行い条件に合うか検討した。

1の条件:写真で見る限りシートは余裕の広さがあるし、着座のゆとり(足つきは悪いらしい)もあるようだ。燃費も20Km/Lは行くようである。

2の条件:最高速は180Km/h以上で、加速も楽しいと書かれている。

3の条件:諸経費入れても130万円で済みそうである。

4の条件:これは問題ありそうだったが、実は1999年にハーレーのユーザーヒアリングのバイトをして、スポーツスター1200のエンジンは良い(Buellはこのエンジンをチューンしたもの)と言う事を知っていた。しかも足回りは国産でかためてあること、クレームが過去に出たが、おおかた2000年モデルで解決されているとので一応パス。

5の条件:サイドカバーのデザインが大味だが、許せる範囲。アメリカ製だからか旧型のコルベットスティングレーを思わせた。これも良し。

俄然立ちあがってきたBuell M2への思い。そうだZZRに足りなかったのは、新しいバイクを買う時のワクワク感なのだ。ZEPHYRに乗っていなかったらZZRにしただろう。しかしそうそうビックバイクが何台も買えるわけではないし、これまでのバイクとは違うタイプのバイクに乗るのも一興であると思い始めたのである。そうとなれば実車を見て試乗しなくては!。Buellは各ショップで試乗出来るのである。

 ●2000年1月8日

 5、6、7日と仕事が手につかず、この日(休み)が待ち遠しかった。まずは東京三鷹にあるモトギャルソンへ。このショップはBuellの販売実績日本一を2年続けている。でも展示の力の入れ具合から見て、どちらかというとDUCATIの方がメインかな?それでも客が多いと言う事は、その分整備にも信頼がおけそう。軽く店長さんと話をして早速試乗。実車は思ったよりデブい。雑誌で読んだ通りシートがやたら高くて、なんかオフ車に乗っているような感じである。つま先もツンツンだ。はっきり言って乗りにくい。振動がデカくてアイドリング時は軽いマッサージ気分。この試乗車、給排気系がノーマルではなかった。(これでは試乗車の意味ない) コースも乗る前に「ネズミ捕りやってるかもしれない」と脅かされ、今一つ全開にできず、雑誌に書いてあるような加速を感じる事はできなかった。色もブルーストリークと言う希望色は置いてなく、なんかむむむっ?な気分でそのまま次の店に行った。

 次の店は練馬にあるMSLゼファー。ここではZZR購入も念頭に訪れたのだが、この店はZZRはさんざん売りまくっているので、「またZZRか」と言う思いからか元気がない。一応店のH氏にZZRの見積もりを作ってもらって、それじゃと去ろうとする間際に「Buellってどんなバイクですかねぇ」と聞いた瞬間!!H氏の顔が見る見る光を放ち、「Buellって言うのは最高です。隼買った人もすぐBuellに乗換えたくらいですからぁ」と別人の様に顔がほころび始めた。(カミサンが後から言うには、私が試乗している間も色々Buell の良さをキラキラと語っていたようである)モトギャルソンK氏もそうだったが、Buellとは買う人だけでなく、売る人にも元気が出るバイクなのだろう。ケケケ。
 試乗車はH氏個人所有のS1というタイプのBuell。ショップオリジナルのパーツを身につけ、改造多数のこれまた試乗車ではなかった。コースは3車線の広い道。爆音と共に俺は飛んでいった。改造車とはいえナルホドこれがBuellの加速ってやつか。面白かった。最後にH氏曰く、「Buellはイジッたらイジった分の効果があって楽しい」とのこと。そう言えば、俺ってバイクを乗りはするけど、本格的にイジってどうするってのはなかったなぁ。それも俺になかったバイクの楽しみ方かな。とも思った。

 ●2000年1月9日

 3軒目は目黒にあるBuell West Tokyo。Buell専門のショップでBuellのパーツも多数用意されている。さすが専門店。何を聞いてもスパッと答えが返ってくる。ここでようやくノーマルの試乗車にありつけた。ここも3車線で飛ばせる。音は静かで(国産ツインよりは迫力あり)住宅地でもひんしゅく買わずに済みそうである。シートは相変わらずの腰高。もうこれは買ったらシート削ろうと決めた。ダッシュもS1改と比べイマイチ。ただ、基本的なポテンシャルは高い(少なくともゼファーより加速は良い)から、後は改造するしかないと決めた。もはや「Buellに決めた」状態である。但しここにもブルーストリークカラーはなかった。試乗記念に携帯ストラップをもらった。このままあきらめて帰るつもりだったが、やはりどうしてもブルーストリークカラーを確かめたく、4軒目はR1号沿いの陸友モータースへ。しかし、ここにも残念ながら置いていなかった。日が暮れ始め、カミサンと2ケツしていたので、寒くならないうちに帰る事にした。お土産にBuellの販促用のビデオをもらった。

 家に帰って作戦会議。 いよいよ買うとなったらショップ選びだ。Buell はどの店に行っても値引きはない。技術・サービス面は訪問した4店とも問題ない。専門店という魅力からBuell West Tokyoにしようとしたが、このショップは整備場が狭く、技術者も少なそうである。(スイマセン,後から解ったのですが、そんな事全然なかった)結局、家から一番近いことと、エンジンがくたびれたXLRをタコメータ追加分(M2はタコがない)で下取りをしてもらえることから三鷹のモトギャルソンに決定した。

●2000年1月10日

 モトギャルソンに行ったらちょうどお客さんのブルーストリークカラーのBuell が置いてあって色も確認できた。これは良い色だ。決定。店に入ったらさっそくK氏からニコニコと笑みがこぼれていた。早速商談。タコメータ追加サービスの確認と、モトギャルソンのバイクカバーをやめて、その分ラグーンのタンクカバーをつけてもらうことで話は成立。納車予定は大体1ヶ月後ということらしい。そのくらいなら我慢できる範囲だ。もはやBuell 乗りたい乗りたい病は重症となっていた。3ヶ月とか言われたらサービスなくても他店に打診するつもりであった。しかし色によっては当時、そのくらいになる場合もあったようである。販売量日本一と言うモトギャルソンでさえ、月に来るのは多くて2、3台で、望みのバイク、色が来るのはまれ。他店と連絡を取り合いながら互いに融通しあう場面も少なくないらしい。とりあえず納車日が確定したら家に電話がくることとなった。

●2000年1月16日

 モトギャルソンから一向に納車日の連絡が来ないので、こっちから電話する。この焦れた気持ち汲み取って欲しいよな。納車日は2月6日とのこと。もっともっとBuellの事が知りたく、再びリンドバーグに行って、今度はBuellを軸に過去の雑誌を探す。2冊ゲット。読んでいると勝手な想像ばかりが目に浮かぶ。アクセルを開けた瞬間に轟くドッカンパワー。シグナルなら隼もZZRもミラーの芥子粒。ハーレーエンジンが奏でるビッグツイン独特の排気音と鼓動は貴方の五感(味覚はナンだ?鉄の味?)を揺さぶる。既に三回試乗していて、現実を知っているのに一回りも二回りも誇大妄想してしまう。ああこれがBuell マジックか?だってどの雑誌読んでもみんなそうなってしまうかのように書いてあるんだよなぁ。販促ビデオを見る。なんか同じシーンの繰り返し。もうちょっといろんな角度から撮ってくれよ。

●そして2000年2月9日:納車日

 ついにきました納車日。本当は6日が納車だったのだが、社内貯金が下りるが8日になってしまいこの日になりました。会社を半休してモトギャルソンへ。寒い風の日であった。現金一括。俺も偉くなったもんだ。店員さんから一通りの説明を受けて、お約束の納車記念撮影へ。寒さのため、なんとなくおざなりな撮影になってしまった。もうちょっとポーズ決めたかった。出来た写真は下の通り。タンクマスクは商品がまだ店に到着してないようで、後日取りつけとなった。とりあえず慣らしに秩父までいこうかい!と思っていたが、あまりの寒さのため断念。近所をブラブラ流して帰るだけのデビューとなった。慣らしは3000rpmまで。トップで90Km/hは行く。加速も良くて慣らしの段階で既に速さを感じていた。早く800Km(アメリカじゃ慣らしは500マイルのようだ)走って魅惑の世界へ突入したい。

とりあえず私とBuellの生活が始まったのである。


寒いくて顔が硬直しております。